日本商標の早期審査を活用すべき場面
― 販売開始・展示会・模倣対策の前に、迅速な権利化を検討する ―
日本で新しいブランドを展開する際、通常の商標審査を待っているだけでは、販売開始、展示会出展、代理店交渉、ライセンス交渉、模倣品対策などのスケジュールに間に合わないことがあります。
そのような場面で検討すべき制度が、日本商標出願の早期審査です。早期審査は、一定の要件を満たす出願について、通常よりも早く審査に着手してもらうための制度です。
弊所では、日本商標の早期審査について豊富な対応経験があります。単に事情説明書を作成するだけでなく、出願商標・指定商品役務・使用証拠・使用準備資料の対応関係を整理し、特許庁に伝わりやすい形で申出書類を構成します。
1. 商標早期審査とは
商標早期審査は、早期に権利化する必要がある出願について、出願人又は代理人が「早期審査に関する事情説明書」を提出することにより利用できる制度です。特許庁に支払う早期審査の申出手数料は不要です。
特許庁の統計では、2025年における商標早期審査の申出から一次審査結果の通知までの期間は平均1.9か月とされています。もっとも、早期審査は登録を保証する制度ではなく、要件や証拠が不十分であれば選定されない可能性があります。
商標の「ファストトラック審査」は令和4年度をもって休止され、再開時期は未定とされています。現在、迅速な審査を希望する場合には、案件の状況に応じて早期審査の利用を検討することになります。
2. 早期審査の対象となる主な出願
現在の運用では、商標早期審査の対象は、主に以下の3類型に整理されています。
| 類型 | 概要 | 典型例 |
|---|---|---|
| 対象1 | 出願人又はライセンシーが、出願商標を指定商品・指定役務の一部に既に使用している、又は使用準備を相当程度進めており、かつ権利化について緊急性を要する出願 | 第三者による無断使用、警告を受けている、ライセンス交渉、外国出願、マドプロ基礎出願予定など |
| 対象2 | 出願商標を既に使用している商品・役務、又は使用準備を相当程度進めている商品・役務のみを指定している出願 | 実際に使用している商品・サービスだけに指定を絞った出願 |
| 対象3 | 出願商標を指定商品・指定役務の一部に既に使用している、又は使用準備を相当程度進めており、かつ基準等に掲載されている商品・役務のみを指定している出願 | 使用証拠が一部の商品・役務に限られるが、指定表示を公式基準に整えている出願 |
どの類型で申出をするかは、指定商品・指定役務の記載、実際の使用状況、使用準備の進捗、外国出願や第三者トラブルの有無などを踏まえて判断します。
3. 重要なのは「証拠の出し方」
早期審査で特に重要なのは、出願商標を実際に使用していること、又は使用準備を相当程度進めていることを、客観的な資料で示すことです。
証拠資料では、少なくとも次の3点が一連の事実として結び付いている必要があります。
- 出願人又はライセンシーが使用していること
- 使用商標が出願商標と同一であること
- 指定商品・指定役務について使用されていること
単にウェブサイトの画面や商品写真を提出するだけでは足りない場合があります。どの部分が商標なのか、誰が使用しているのか、どの商品・サービスに使用しているのかを明確に説明する必要があります。
また、「使用の準備を相当程度進めている」といえるためには、単なる使用予定では足りません。外部業者への発注、受注書、制作中のカタログ、看板デザイン、ホームページ制作依頼など、対外的に使用に向けた動きが進んでおり、使用が確実視される資料が重要です。
4. 早期審査を検討すべき場面
- 日本での販売開始日が迫っている場合
- 展示会、見本市、クラウドファンディング、EC販売の開始前に権利状況を明確にしたい場合
- 第三者による模倣・無断使用が疑われる場合
- 代理店、販売店、ライセンシーとの契約前に商標権の取得見込みを確認したい場合
- 海外出願やマドリッド協定議定書出願の基礎として日本出願を利用したい場合
- 投資家、取引先、ECモール、プラットフォームから商標権の取得を求められている場合
5. MEVRO国際特許事務所のサポート
MEVRO国際特許事務所では、日本商標の早期審査について、出願前の設計段階からサポートしています。
- 早期審査の対象となる可能性の事前検討
- 指定商品・指定役務の調整及び補正方針の検討
- 商品写真、カタログ、ECページ、SNS、ニュースリリース等の証拠整理
- 外国語資料の日本語説明・翻訳対応
- ライセンシー、関連会社、販売代理店が使用している場合の関係整理
- 早期審査に関する事情説明書の作成・提出
早期審査は、証拠を集めればよいという制度ではありません。出願商標、指定商品役務、使用者、使用証拠を正確に結び付ける実務的な整理が重要です。弊所では、これまでの豊富な対応経験を踏まえ、迅速な権利化に向けて実務的にサポートいたします。
6. まとめ
日本商標の早期審査は、販売開始、展示会、模倣対策、代理店交渉、海外展開など、ビジネス上のスケジュールに合わせて商標権取得を進めたい場合に有効な選択肢です。
もっとも、早期審査の対象となるかどうかは、指定商品・指定役務の記載、使用又は使用準備の状況、証拠資料の内容によって左右されます。日本でブランド展開を予定している場合は、出願前又は出願直後の段階で、早期審査の可能性を検討することをお勧めします。
日本での迅速な商標権取得をご希望の場合は、MEVRO国際特許事務所までご相談ください。
【参考】特許庁「商標早期審査・早期審理の概要」「商標の使用に関する説明書類を作成するにあたって」
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